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円高と円安はどっちがいい?

円高と円安はどっちがいい?

円高とは円の価値が高いことを指し、円安は円の価値が安いことを指します。
そこで「円高と円安どっちがいいの?」と気になる人は多いでしょう。円高・円安の良し悪しは、企業や個人といった立場によって異なります。

円高・円安とは

まず覚えておきたいのは、通過の価値は相対評価で決定されるという点です。
例えばスーパーやコンビニで何か商品を買っても、その影響で直接、円の価値が変わることはありません。
ここでいう価値が上がる・下がるというのは、ドルやユーロなど海外の通貨と相対的に比較して決まることです。
例えば、「1ドル=100円」で換金できたものが、「1ドル=150円」になったとします。1ドルを手に入れるためには今までより1.5倍の円を支払わなければならないのは円の価値が下がったからです。
これは円安ということになります。
円高・円安は資産運用で大きく影響しますが、日用品やサービスの値段にも影響するので、円高・円安の動向を把握しておくことは大切なのです。

円高・円安がモノの値段に与える影響

円高・円安について、モノの値段で例えて考えるとこうなります。
例えば3万ドルの外車を購入するとしましょう。
1ドル=110円の場合、3万ドルの車は日本円で330万円になりますが、1ドル=130円の場合、3万ドルの車は日本円で390万円になります。日本円で60万円もの差額です。
数カ月や1年で円高・円安の状況が大きく変わることは珍しくありません。タイミングによって自動車のように値段の高いモノほど、円高・円安の影響は如実に表れます。

円高・円安はどうして起こる?

円高・円安の変動は為替市場(外国為替市場)で起きています。
為替市場において円が欲しいと考える人が多いと円買いといい、円の需要が高まり円高に。反対に円を売りたい人が多い状況を円売りで、円の供給が増え価値が下がり円安に。これが変動する理由です。
ただし、株取引のように証券取引所があるわけではありません。主に銀行同士が為替取引するためのインターバンク市場が取引所としての役割を持っています。
為替市場では売り手と買い手の需給によって為替レートが変動しており、需給に影響を与えているのは以下の通りです。

金利:金利が高い国の通貨が買われ、低い国の通貨が売られやすい
政治・経済政策:政治や経済政策に不安感があると通過が売られやすい。戦争等の場合は特に顕著。
景気:景気のいい国の通過は買われやすく、逆は売られやすい。
物価:物価の上昇は貨幣価値が相対的に低くなるため、インフレの国は通貨が売られやすく、デフレの国は買われやすい。
国際収支・経常収支:対外黒字が大きいと外貨を売って自国通貨に交換する需要が高まるため、自国通貨高になりやすい。対外赤字になると外貨需要が高まるため自国通貨安になりやすい。

これ以外にも為替レートに影響を与える要因はありますが、上記5項目は特に影響を与えやすいため、注視しておくと為替レートの相互関係が分かりやすくなります。

円高と円安どっちがいいの?

円高と円安の話題でよくいわれるのが「結局、円高と円安どっちがいいの?」という疑問です。
円高と円安は私たちの生活にも大きく関係しています。

円高のメリット

円高によるメリットは海外のモノ・サービスが安く買えるようになることです。輸入品の価格が下がり、海外旅行にかかるお金がすみます。
そのため、円高の時期を狙って、海外旅行する人も珍しくありません。2010~2012年は円高の傾向があったため、海外旅行へ行く人が増加しました。
円高を意識して滞在期間を延ばしたり、ホテルのグレードをアップしたりするなどメリットを享受した人が多くいます。
また、石油や天然ガスなどの資源エネルギーも安く購入できるので暮らしは楽になるかもしれません。
企業にとっても輸入にかかるコストが安くなるため、輸入産業の利益増加が見込めます。

円高のデメリット

円高になると日本製品が外国での価格が高くなり売れなくなります。そうすると国際競争力が低下し、輸出が減少します。輸出産業は減収し、工場などは海外へ移転してしまう企業が増加。
輸入食品や輸入原材料などは安いので、国内物価は下がります。価格が安いままだと企業の売り上げは上がらず従業員のボーナスカットなども考えられるでしょう。
このように円高は不況やデフレになりやすい傾向といえるでしょう。
投資で考えると海外資産を日本円に換える場合、高い円と交換することになるので同じ金額の外貨建て資産でも得られる円は少なくなります。
ただし、高い円を使って相対的に安い海外資産を買い増すチャンスです。

円安のメリット

輸出企業が海外で稼いだ外貨をより多くの円に交換できるという点にあります。企業の売り上げも円安の分だけ増えることになるので、業績にも好影響です。
また、円安になると輸出する製品を安く設定できるので、国際競争力が高められるかもしれません。
海外からすると円安は日本のモノ・サービスが安くなっている状態です。そのため、外国人旅行者の増加も見込めます。
個人だと海外資産を保有している場合、円資産より有利に働きやすくなるため、利益が生まれやすくなるはずです。
円安は個人より企業にメリットが大きいといえます。

円安のデメリット

一方で輸入製品や輸入原材料などの値段は上がり、国内物価も上がるため、個人に対する影響が大きくなる傾向にあります。
輸入品に頼っている日本では生活必需品の値上げというリスクです。そうなると、賃金は変わらないのに出費は増えてしまいます。
株式といった金融資産を持っていない場合だと、資金が目減りしてしまうため注意が必要です。
円安は好景気になりますが、インフレに向かう傾向にあります。

円高と円安どっちがいいのかは立場で変わってくる

円高と円安のメリット・デメリットは、その人の立場によって良し悪しが違います。
輸出産業がメインの企業にとっては、製品を売りやすい円安にメリットがあるでしょう。
一方、個人として直接影響が大きいのは円安です。日本は生活必需品の多くを輸入に頼っているため、円安になると支出の増加が懸念されます。
2022年に入ってから値上げラッシュが続いていますが、給料が据え置きでは、個人の生活に大きな打撃となるでしょう。

円安の時にすべきこととは

2022年に入り為替相場は大きく動いています。1月~10月の時点で1ドル=115円から32年ぶりに1ドル=150円台まで円安が進行しました。
為替レートは常に変動するので、相対的に円安の時期もあれば円高の時期もあります。円安になると生活に変化が生じるだけではなく、資産の価値が減るリスクもあるので注意しなければなりません。
12月は130円台で落ち着きましたが、円安が進行したらどうしたらいいのでしょうか。
適切な対策を行えば円安時に資産を増やす、あるいは利益を得られる可能性があります。または円安のデメリットを極力避けて生活することも可能です。
個人でできる円安対策は以下の通りです。

外貨建て資産を保有する

円安に備えて、外貨建ての資産を保有することです。外国株式や外国債券、外貨預金などのように、米ドルやユーロなど円以外の通貨で価値がある資産をいいます。
外貨建ての資産は円安時に資産価値が増えるため、円の資産価値減少のリスクを回避できるので、資産を守れるでしょう。
ただし、外貨建ての資産ばかりだと円高時は資産を守れなくなるので、円建て資産も同時に保有するバランスが大切です。為替レートがどのように変化しても財産を守れるように、バランスよく分散させるようにしましょう。

国内製品に目を向けていく

国内の原料を使い、国内で製造する国内製品は為替レートの影響を受けにくくなります。円安時には外国製品ではなく国内製品を選択することで、生活への影響を極力抑えるようにしましょう。
ただし、製造過程や運搬過程で燃料を外国に頼っている場合、円安の影響を受けます。

円安時の投資方法

円安時だからこそできる投資チャンスについて紹介します。

あえて割安な日本株へ投資する

現在、日本株は好調とは言えません。
しかし、中には財務に問題がなく業績も好調な株が割安水準であるためねらい目です。
また、海外投資家から見ると日本円が安い状況のため、日本株に投資してみようと思うかもしれません。
割安な高配当株へ投資しておくことで、キャピタルゲイン(値上がり益)やインカムゲイン(配当金)を受け取れる可能性が高まります。

輸出関連企業やインバウンド関連企業に投資する

円安が進むことで輸出関連企業の業績が上がりやすくなります。
決算時の予想為替レートを1ドル=110円台に設定している企業が多いので、仮にこのままドル円=130円台で決算を迎えたとすると10~20%程度の利益上昇が期待できます。
これから海外からの観光客も増えてくるでしょう。落ち込んだインバウンド企業へ投資することで、経済が正常化したときの利益が狙えるでしょう。

円安時に投資する際の注意点

円安時に投資する際の注意点を紹介します。

すべての資産を外貨に変える

上にも書きましたが、円安の状況だと円だけを保有するのではなく、ドルやユーロなどの海外資産を保有したほうがよいと感じる方は多いはずです。
ただし、ここから先、円安が続くと予想して、すべての資産を外貨に変えることはやめておいたほうがいいでしょう。
ここから円高になるかもしれません。そうすると資産が目減りしてしまいます。これは投資のプロであっても未来を読むことはできません。
そのため、すべてを外貨にするのではなく、円と外貨をバランスよく分散しましょう。

円高・円安についての紹介から現状について解説してきました。
ポイントを押さえて投資を考えてみてはいかがでしょうか。